せとまちコラムSetomachi Column
ファスティングで期待できる効果とリスク
各種検査2022.05.24

ファスティング(断食)は、一定の期間、全ての食物もしくは特定の食べ物の摂取を断つことです。近年、健康促進・美容などの目的で行われるファスティングが脚光を浴びています。
ファスティングには色々な方法があり、1日のうち1〜2食を抜く簡単なものから、数日の間、固形の食べ物を全く摂らないものまで様々なやり方があります。
24時間程度までのファスティングは比較的安全に行うことができますが、それ以上長時間行う場合は、危険性もあるため専門的な方の指導を受けることをお勧めします。
ファスティングでは以下の様な様々な効果が期待できます。
- 脂肪燃焼
- デトックス
- ミトコンドリア活性
- 胃腸を休める
その一方で、ファスティングに向かない人が行った場合にはリスクを伴うこともあります。
- 成長期のお子様
- 痩せ型で疲れやすい方
- 甲状腺機能低下がある方
- 副腎疲労を来している方
成長期のお子様は身体を作る必要があるため、一定の糖質が必要です。そのため極端な食事制限はしない方が良いでしょう。特にスポーツなどで活動量が多いお子様は特に注意が必要です。
疲れやすい方は、からだのエネルギーが不足している場合が多く、甲状腺機能が低下していることがあります。その場合、体内に脂肪が多くあればその脂肪を燃焼させることでエネルギーを産むことができますが、痩せている方の場合は脂肪が少ないためエネルギー産生ができず、さらに代謝を落としてしまう可能性があります。
また、ご自身では疲れやすい自覚がないものの、実際には副腎疲労を来しており、ファスティングを機に倦怠感が助長することもあります。場合によっては嘔吐を繰り返し(医学的には急性副腎不全という状態)、点滴治療が必要となる方もいます。
それらの健康状態の確認のためには、分子栄養学的血液検査でご自身の状態をチェックした上でファスティングを検討されることを勧めます。
それらの病態を改善した上でファスティングを実施することにより健康上、大きなメリットを生むでしょう。
記事監修
米澤 公器
瀬戸のまち統合治療院
よねざわ生活習慣病・脳クリニック院長
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