せとまちコラムSetomachi Column
「免疫」について Part 1
各種検査点滴療法各種治療からだに優しいがん治療2022.05.09 2024.04.24

近年、コロナウイルスの世界的パンデミックにより免疫とは何なのか興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。今回は免疫について少し詳しく説明しようと思います。
「免疫」には大きく分けて3つの要素が関与します。
- 皮膚・粘膜のバリア
- 自然免疫
- 獲得免疫
「免疫力」という場合には自然免疫と獲得免疫のことを指す場合が多いです。
まず、第一の皮膚・粘膜のバリアですが、環境にあふれる細菌、ウイルス、カビ類などの病原体を防ぐために物理的な壁を形成しております。皮膚や粘膜はターンオーバーが活発な組織ですが、亜鉛やビタミンAが不足するとターンオーバーが鈍くなり、十分なバリア機能を果たせなくなります。喉の粘膜を強化するため亜鉛トローチを利用することもあります。また、皮膚や消化管には多くの常在菌が住んでいます。それらの常在菌の状態を良好に保つため、良質な乳酸菌サプリを使用することで皮膚・粘膜の健康を維持することができます。
皮膚・粘膜のバリアを突破した病原体は、体内の細胞内に入り込み増殖しようとします。そこで、機能するのが自然免疫となります。自然免疫とは人間に元々備わっている仕組みで、免疫細胞が自己と非自己を認識することで、非自己である病原体をいち早く認識し、攻撃することで病原体の排除を試みます。具体的に免疫細胞とは好中球やマクロファージ、樹状細胞などがあります。これらの細胞は病原体を直接飲み込んで処理します。自然免疫を活性化させるインターフェロン誘導物質を摂取することで自然免疫を強化することができます。
そして、その情報を第3の砦であるリンパ球からなる獲得免疫に伝えます。その情報は一度侵入してきた病原体に関しては長期間記憶することができるため、再度侵入してきた際にはすぐに攻撃することができます。つまり、自然免疫が先天的な免疫だとすると、獲得免疫は文字通り、後天的に獲得した免疫であると言えます。
この獲得免疫を利用して病気の予防の役立てたのが「ワクチン」です。病原体の感染が起こる前に無毒化した、あるいわ弱毒化した病原微生物を人為的に体内に入れることで獲得免疫を準備しておくのがワクチンとなります。ワクチンは通常ターゲットとした病原体に対しての獲得免疫を強化することはできますが、その一方で幅広い病原体に対応することのできる自然免疫を弱らせたり、獲得免疫の暴走である自己免疫疾患などを引き起こすリスクがあります。従って、ワクチンは効果(有効性)と副作用(安全性)が十分評価され、有効性が安全性を上回ることが重要になります。
次回は具体的に免疫力アップする方法をお伝えします。
記事監修
米澤 公器
瀬戸のまち統合治療院
よねざわ生活習慣病・脳クリニック院長
関連記事
-
PFOS・PFOAへの対処法
保険診療点滴療法からだに優しいがん治療2024.08.16 2024.08.19
最近、水道水への混入で話題になっている有機フッ素化合物のPFOS・PFOAは「foever chemical:永遠の化学物資」と言われる様に化学的に非…
-
がんが消えていく生き方
からだに優しいがん治療2023.03.03
先日、ベストセラー本「がんが消えていく生き方」の著者である船戸崇史先生をお招きしてクリニックで講演会をさせて頂きました。 船戸先生はがんを手術で治す外…
-
「がん」の治療 Part1
からだに優しいがん治療2022.04.22 2022.12.17
「がん」がどんな病気かを考える際に、どこに相談するかにより説明は大きく変わるかと思います。大学病院などの標準治療を行う病院では「がん」は遺伝子の問題で…
-
美白点滴を追加しました
点滴療法2022.05.10 2022.05.12
「日焼けをして肌が黒くなるのは紫外線の影響でメラニンが増えるから」ということがよくいわれています。これは実は私たちの皮膚を紫外線により生じる活性酸素か…
-
当院での糖尿病治療法 Part1
保険診療各種治療メディカルフィットネス2022.04.21 2022.12.17
一般的に生活習慣病でよく見られる糖尿病は、インスリン分泌はあるものの糖を筋肉や肝臓などに取り込むことができない2型糖尿病です。どうして糖を取り込むこと…
-
ファスティングで期待できる効果とリスク
各種検査2022.05.24
ファスティング(断食)は、一定の期間、全ての食物もしくは特定の食べ物の摂取を断つことです。近年、健康促進・美容などの目的で行われるファスティングが脚光…