せとまちコラムSetomachi Column
動脈硬化は改善しないのか? Part1 「原因編:酸化ストレスと慢性炎症」
各種検査点滴療法2022.05.25 2023.04.18
動脈硬化の改善は難しい。というのが一般的な保険診療での返事になると思います。私も脳外科医として血管障害の治療を行なっていた際には「降圧薬などで進行を抑えることはできても改善するのは難しい」と考えていました。
しかし、栄養療法や抗加齢の治療に携わり考え方は変わりました。実際に治療を重ねることで、動脈硬化測定(CAVY)で血管年齢がどんどん若返っていく症例を多数経験したからです。
動脈硬化の原因は以下の二点が重要です。
・「酸化ストレス」と「慢性炎症」
・「カルシウムパラドクス」
まずは「酸化ストレス」についてです。悪玉とされているLDLコレステロールも本来は体に必要な栄養素のひとつですが、活性酸素によって酸化されると本物の悪玉コレステロールである酸化LDLとなり血管壁に蓄積されて、血管を硬く細くして動脈硬化を来します。これは当院でも行なっているLOX-index(血液検査)や8-OHdG(尿検査)により酸化ストレスの評価が可能です。「酸化ストレス」の原因となる活性酸素はタバコや酸化した油の摂取は勿論のこと、精神的ストレスや過剰な有酸素運動も原因となります。詳細は以前にせとまちコラムで投稿した「交感神経優位な状態が続くとがんは生まれる」をご参照ください。
また、脂肪肝などで内臓脂肪が多い状態では脂肪細胞から炎症性物質が放出され、それにより動脈硬化が促進します。また、それらの炎症により活性酸素を発生させることで酸化LDLの産生にも関わります。従って、内臓脂肪を減らすことで「慢性炎症」を改善し、「酸化ストレス」を減らすことができます。内臓脂肪を減らすには過剰な糖質を避け、飲酒を控えることの他に運動習慣も重要となります。さらに、ビタミンEサプリなども抗酸化作用により動脈硬化の予防・改善が期待できます。その他にも抗酸化作用のあるビタミンCやグルタチオン、αリポ酸、水溶性ケイ素も動脈硬化の予防および改善に有効と考えられます。最近では水素の抗酸化作用による動脈硬化の改善の報告が増えており、特に水素吸入により最も効果が期待できると考えております。
次回は二つ目の原因である「カルシウムパラドクス」について詳しく説明します。
記事監修
米澤 公器
瀬戸のまち統合治療院
よねざわ生活習慣病・脳クリニック院長
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