せとまちコラムSetomachi Column
当院の考える予防医療
保険診療各種検査各種治療2026.07.15

予防には病気が発症する前である未病の段階で行う「一次予防」と、すでに糖尿病や血管狭窄などのリスクある病態を認めている段階での治療の「二次予防」に分かれる。
脳外科医時代には血管狭窄の二次予防として血管のプラーク除去術やステント留置術を行なっていた。ステント留置した場合は治療後も血を止まりづらくする抗血小板剤を飲み続けなければならず、それに伴い出血性胃潰瘍のリスクが上がるため胃薬も必要となるなど薬が増えていくスパイラルに入ってしまう。当院には「できるだけ薬を使用したくない」と希望される方の受診が多いが、二次予防において薬物を使用しない治療は病態自体のリスクを伴うため、薬物によるリスク(副作用)と使用しないリスク(病態自体のリスク)を比較する必要がある。二次予防となるとどうしても病態自体のリスクがあるため、できたら一次予防で行うことが理想である。
一次予防はもともとの疾患リスクがない方であるので、薬を飲むことにより他の病気のリスクが増えるようなことはなくすべきと考える。よくあるのは「健康診断でコレステロールが高いことを指摘されて脂質異常症の薬(スタチン製剤)を飲むように言われた」と相談を受けることが多いが、スタチン製剤には筋肉を減らし(サルコペニア)たり糖尿病を増やすリスクがあるため、それらのリスクと血管障害リスクを減らすベネフィットを天秤にかけて判断する必要がある。健診での指摘の場合、血管障害リスクが少ない場合が殆どであるため、一時予防としてスタチンを飲む妥当性は低いと考える。
一次予防で大事なことは第一に幅広い病気を予防できること、次に副作用がないこと、最後にコスパが良いことが揃えば理想的である。例えば、ビタミンD3サプリや水素吸入は全くリスクを伴うことなく血管障害のリスクを減らせるばかりか、スタチンの副作用であるサルコペニアや糖尿病のリスクも軽減することもできる。それ以外にも認知症、骨粗鬆症、がん、自己免疫疾患、ウイルス感染症など幅広く病気のリスクを減らすことが可能である。ビタミンDは主に、皮膚で紫外線(UVB)を浴びることで、コレステロールを原料として自動的に体内で合成される。しかし、多くの現代人は紫外線を浴びることが少なくなっているためビタミンD不足となっている。当院では自費の血液検査でビタミンD血中濃度(25OHビタミンD)を測定することが多いが、サプリを飲まず25OHビタミンDが至適濃度である40ng/mLを超えている方は見たことがない。コスト面において、ビタミンD3サプリは月1000円程度とかなりコストパフォーマンスがよく世界的には最も売れているサプリの一つである。私自身は血管障害の家系であるため、日焼け止めを塗ることなく紫外線を浴びることで夏場はかなり日焼けしているが、サプリを飲むことなく25OHビタミンDが40ng/mL近くまで達している。シミのケアと疲労回復の意味もあり紫外線を浴びた後には水素吸入とビタミンCサプリを摂取するように心がけている。
さらに一歩進んだ一次予防では漢方と腸内環境へのアプローチがある。漢方や腸内環境改善は個々人の体質に合わせる必要があるため、ビタミンDのような大規模臨床試験でのエビデンスはつくれないが、体にに合えば、体質と諦めていた病態への改善が期待できるばかりでなく生活習慣病の予防にもなりうる。例えば、分子栄養学的血液検査で慢性炎症と脂肪肝がある方で体質的にむくみやすく、下痢傾向がある場合では利尿作用のある五苓散や柴苓湯により浮腫、下痢の改善だけでなく脂肪肝の進行抑制も期待できる。但し、漢方自体による肝機能障害のリスクもあるため、定期的な血液検査は必須である。漢方を選択する際、冷えた病態には温める生薬、熱を持った病態には冷ます生薬、水分が滞っている病態には利尿作用のある生薬、逆に水分不足の病態には潤わす生薬を選択し、数多くある漢方の中から理想的な漢方を選択していく。
また、腸内環境へのアプローチも重要である。腸内細菌は多様性が重要なため、偏ることなく様々な食材で食物繊維や発酵食品を摂取することが重要である。但し、同じものを食べても反応は人により様々であるため、その方に合ったものである必要がある。日本人の腸内環境に合いやすい食材として、玄米や味噌汁、「まごわやさしい」の和食が基本と考える。但し、玄米は消化が難しい側面もあるため、発芽や発酵をさせた方が良い。玄米を麹菌で発酵させた玄米酵素サプリは非常に理にかなった補助食品である。定期摂取していると腸内細菌が水素ガス(おなら)を発生させ、血中水素濃度が上がるデータがあるのみならず、血糖降下作用や歯周病予防のデータもある。但し、効果の出かたには個人差があるのは、腸内フローラの違いであると思われる。玄米酵素の味を好まれる方では特に良い効果がでている印象がある。
この様に、ビタミンD、水素、玄米酵素などは一次予防に欠かす事のできない選択肢であるが保険診療では行うことができないため、自費診療により実践している。
記事監修
米澤 公器
瀬戸のまち統合治療院
よねざわ生活習慣病・脳クリニック院長
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