せとまちコラムSetomachi Column
「がん」の治療 Part2
からだに優しいがん治療2022.04.23
代謝の問題からみた「がん治療」について考えていきます。まず、がんの遺伝子変異は「活性酸素」によりDNAが傷つけられることから始まると考えると、活性酸素をコントロールする抗酸化機能を高めることが重要になります。体に備わっている抗酸化物質としてグルタチオンやαリポ酸などがあります。水素吸入療法も強い抗酸化作用が期待できます。一方、活性酸素の発生源として抗がん剤を含めた薬剤、放射線被曝、農薬、添加物のほか、精神的ストレスも大きく関わります。また、鉄剤などで摂取した過剰な鉄分は活性酸素の原因となりますので、貧血があるからといって鉄剤を内服するのは注意が必要です。
次に、がんは「低酸素」、「低体温」などミトコンドリアの活性が下がった状態で元気になります。つまりミトコンドリア活性を高めて行くことでがんが弱っていくと考えられます。では、ミトコンドリアを元気にするのはどうしたら良いのでしょうか。食事では間欠的ファスティング、運動では有酸素運動が有効です。また、代謝において最も大事なことはマグネシウムや鉄、ビタミンB群、ビタミンD、コエンザイムQ10が不足しないことです。当院ではこれらの不足しがちな栄養素の食事指導や場合によってはサプリ販売も行っています。逆に代謝を阻害する水銀やヒ素などの有害重金属を排出させることも忘れてはいけません。体内の有害金属の蓄積はオリゴスキャンで評価することができます。これらのデトックスにも、抗酸化物質であるグルタチオンやαリポ酸が有効です。また、酸素をミトコンドリアに運ぶ赤血球が不足しない(貧血がない)ことも重要です。交感神経優位な状態では呼吸が浅くなり、末梢の血管が閉まり、細胞が「低酸素」の環境となってしまいます。従って過剰なストレスが続くことはがんの温床となってしまうので、ストレス生活の見直しも重要となります。それらが整いミトコンドリア活性が高まると自然と「低体温」は改善していきますが、温泉や温熱療法などで強制的に「高体温」の環境とすることも有効です。
最終回は抗がん効果があり免疫力アップにもなる高濃度ビタミンCについて解説していきます。
記事監修
米澤 公器
瀬戸のまち統合治療院
よねざわ生活習慣病・脳クリニック院長
関連記事
-
がんが消えていく生き方
からだに優しいがん治療2023.03.03
先日、ベストセラー本「がんが消えていく生き方」の著者である船戸崇史先生をお招きしてクリニックで講演会をさせて頂きました。 船戸先生はがんを手術で治す外…
-
「がん」の治療 Part3
からだに優しいがん治療2022.04.26 2022.10.28
最後に、正常細胞に影響を与えずがん細胞を直接攻撃して抗がん効果を発揮する高濃度ビタミンC点滴治療について説明します。 ビタミンCは一般的…
-
「がん」とマクロファージ
点滴療法からだに優しいがん治療2022.05.18
「マクロファージ」は体内に異物が入って来ると自然免疫系の主役として活躍しますが、これは表の顔で、実は裏の顔があるのです。何と「がん」と密接な関係を持つ…
-
「ビタミンD」について
各種検査各種治療からだに優しいがん治療2022.05.11 2022.12.07
前回、美白についてのコラムでは紫外線は活性酸素の原因となり、シミ、そばかすなどの原因となると説明しました。紫外線を浴びすぎるとそれらが問題となりますが…
-
早期がん検診 「尿中腫瘍マーカー」
各種検査からだに優しいがん治療2023.04.26 2023.04.28
一般的にがん検診で行う腫瘍マーカーはある程度進行していないと上昇しないことが多いです。一方、「尿中腫瘍マーカー(ジアセチルスペルミン)」は乳がん、前立…
-
「免疫」について Part 1
各種検査点滴療法各種治療からだに優しいがん治療2022.05.09 2024.04.24
近年、コロナウイルスの世界的パンデミックにより免疫とは何なのか興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。今回は免疫について少し詳しく説明しようと…